騎手のいない馬
corgiville (2012年8月14日 23:59)
「第7展示室」には、一見してケネディともジャッキーとも関係ないモデルホースが展示されています。
この馬は名を「ブラック・ジャック」(奇しくもジャッキーの実父の愛称と同じ)といい、1963年11月25日のジョン・フィツジェラルド・ケネディの葬儀で「riderless horse(騎手のいない馬)」に選ばれました。
JFKが暗殺によって非業の死を遂げた直後、ジャッキーが考えたことは、夫の葬儀をアメリカの過去の英雄に匹敵する格式あるものにし、彼を伝説として人々の記憶に末永く焼き付けることでした。
彼女はリンカーンやルーズベルトの葬儀について調べさせ、徹底的なこだわりをみせ、葬儀は海軍が執り行ない、重厚なドラムの響きと共に参列者が行進し、埋葬はケネディ家ゆかりのハイアニスポートではなく、国立アーリントン墓地にすべきだと主張しました。
そして、フランクリン・ルーズベルト大統領の葬儀と同じように、柩は弾薬車に乗せて墓地まで運び、柩の後ろには騎手がおらず、逆さまに吊るされた鐙にブーツだけが載せられているというスタイルを踏襲したのです。
わずか三日間の間にこれだけの段取りを仕切った彼女の精神状態はある意味で高揚していたのでしょう。
モデルホースのブラック・ジャックに付いていたガイドブックには、ジャッキーが「ブラック・ジャック」を一目見るなり、その美しさ、つやのある毛並み、鍛えられた筋肉、額の部分に白い小さな星がある漆黒の体‥‥に印象ずけられたと書かれています。