Corgiville Museum 紅木 美るのケネディ・コレクションCorgiville Museum 紅木 美るのケネディ・コレクション

キャメロット

corgiville (2012年5月27日 06:15)

JFKの葬儀の後、ジャッキーは別荘のあるハイアニスポートでジヤーナリストのテディ・ホワイトと会っています。彼は『ライフ』誌にケネディ暗殺について寄稿することになっていたため、ジャッキーに話を聞きにきたのです。

精根尽き果て青白い顔をしたジャッキーは、暗殺の背後にある政治的要因にはまったく関心を持ちませんでした。夫の生涯を語るには政治思想や政治理論でなく、神話や魔法、伝説や武勇伝にたとえるほうがピッタリだと主張しました。

ケネディ大統領は生前、ブロードウェイ・ミュージカルの「キャメロット」のレコードが好きでよく聴いていて、その歌詞の一節、

♪忘れてしまわないで、 むかしあるところに、 キャメロットと呼ばれる、 つかの間の輝かしき時代があったことを

が彼の生涯そのままだと言い、ホワイトが書く記事に望んだのは、ケネディ政権をキャメロットにたとえるということだけだったそうです。

ホワイトは、彼女の歴史観が正しいか否かより、暗殺事件をこのようなロマンティックな話に仕立てるジャッキーの能力にいたく敬服したそうです。

ケネディ政権時代がアメリカの歴史のなかの魔法の一時「キャメロット」と後々呼ばれるようになった背景には、ジャッキーのこんな切なる思いがあったのでした。

  ── 参考文献    デビット・ハイマン 「ジャッキーという名の女」